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紅茶のカップを持ってやってきたヒロ君が驚いている。
「りお、どうした? 気分でも悪い? 長旅で疲れた?」
気遣ってくれるけど、耳に入らない。
隣に腰掛るのを横目にチラリと見ながら、だけどバラの花から目が離せない。
「このお花、どうしたの?」
震える声で尋ねた。
「あぁ、これ。日本にいたときはいつも会社でりおが花を飾ってくれてただろ? その延長かな? ないと寂しくて、りおの代わりに飾ってるんだよ」
さっきアパートの前にあった花屋さんで買ってるの?
私の代わりなんて口実で、本当は綺麗な人がいて仲良くなっちゃったんじゃないの?
だから1年間1度も帰ってこなかったの?
「りおみたいに可愛い花だろ?」
「……」
どんどん体が震える。
嫌な想像しかできない。
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