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震える私を残して立ち上がったヒロ君は、メインストリートに面した窓を開けた。
「りお、おいで」
どうしよう。
何があるんだろう?
気になるけど動けない。
「ほら、おいで」
戻ってきたヒロ君が、私の手を取って窓際に導く。
「見てごらん」
覗いた窓の外、小さな花屋さんの前で、ちょっとマッチョでいかにもビールとソーセージが似合いそうなお兄さんが、たくさんの花が入ったバケツを運んでいた。
「わかった?」
「うん、ごめんなさい」
じっと見ていた私達に気がついたのか、お兄さんが見上げて手を振ってくれた。
「ベンって言うんだ。たしかに何度か飲みに誘われたけど、俺そっちの趣味はないから」
手を振りながらヒロ君は笑ってる。
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