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「ごめん」
「今更」
「だよね」
また泣きそうになっている私の髪を、新ちゃんがくしゃっと撫でてくれた。
あの頃より大きくなった手が温かい。
しばらく2人でコスモス畑を眺めていた。
「連れてきてくれてありがとう」
「昨日も来たくせに」
「でも嬉しい」
「そっか」
そっと左手を差し出す新ちゃんと、あの日みたいに手を繋ぐ。
「来年も来ような」
「うん」
来年は同じ家から出発できるといいな。
毎年変わらず咲き続けるコスモスみたいに、私達もずっと……。
fin.
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