アイリス

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毎日店の前を慌ただしく駆け抜けていく、サラサラのセミロングのOLさんが気になり始めたのはいつからだったか......。 今日も7センチはあるヒールで駅へ駆けていく、8時ちょうどの電車に間に合うように。 もう少し早く家を出ればいいのにって思うけど、女性は準備に時間がかかる生き物だし、走り抜けていくから俺が毎日眺めてるのにも気がついて無さそうだから、好都合ではあるんだけど。 仕入れから戻って開店準備を始めるこの時間が毎朝楽しみだなんて彼女は知らないだろうな。 「さて、今日も頑張りますか」 仕入れたばかりの花を並べ、バラのトゲの処理をしながら午前中を過ごし、少しずつ訪れるお客さんの相手をしたり、配達に行ったり。 花屋ってもっとのんびりしてるイメージだったけど、実際結構重労働だった。 .
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