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「これ何の球根?」
「花が咲いてからのお楽しみ。その球根がキレイな花を咲かせたら、きっといいことあるよ」
「ふふっ、しばらく引きずりそうだけど、その頃、新しい恋が始まるといいな」
赤い目に赤い鼻のいつもよりちょっと幼く見える彼女は、大事そうにその球根を持って帰っていった。
それからも彼女は毎朝俺に手を振って、笑顔で仕事に向かっていった。
少し目元が腫れぼったいから、帰ってからもまた泣いたんだろう。
他の男を思って泣く彼女に、胸が締め付けられるような気分で開店準備を始める。
早く心のキズが癒えるように祈りながら。
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