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息をするのも遠慮してしまうくらい緊張しながら、1枚ずつ千切っていく健二の手元をじっとみつめる。
庭にいるのに酸素が薄く感じる。
「すき、きらい、……きらい、……、すき、きらい……」
結局やっぱりきらいで終わってしまった。
「あ……」
「……」
はぁとため息を1つついた健二が、私の腕を掴んで家に入っていく。
もしかして今別れるって親に言うの?
パニックのままついて行くと、
「お父さん、由紀を嫁にもらうのは諦めます。俺婿に来ます」
「いや~健二君、よく決心した!ありがとう」
「へ?」
婿……?
健二は次男だし、私は長女だし、それがネックで結婚が先延ばしになっていたなんて、今初めて知った。
こんなハッピーエンドありなのかな?
「私プロポーズされてない!」
婿になる前にプロポーズしてよね。
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