ライラック(紫)

6/10

2760人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
「何だよ、ライラック持ってきただけだろ」 「ありがとう」 せいちゃんの手には本当にライラックの枝が1本握られていて。 「お茶入れてこようか」 「いや、コーヒー」 いるんだ……。 仕方なく花瓶を取りがてら、1階のキッチンにコーヒーを淹れに行く。 「勝手に部屋の中触らないでよ」 聞いてくれる保障はないんだけど。 特に見られて困るようなものはないけど、やっぱりね。 大急ぎで、ライラックの花瓶とコーヒーをトレーにのせて部屋に戻った。 ドアを開けようとノブに手をかけると、中からせいちゃんの話し声がする。 電話かな? 話の邪魔をしないようにそっとドアを開けた。 .
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2760人が本棚に入れています
本棚に追加