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「何だよ、ライラック持ってきただけだろ」
「ありがとう」
せいちゃんの手には本当にライラックの枝が1本握られていて。
「お茶入れてこようか」
「いや、コーヒー」
いるんだ……。
仕方なく花瓶を取りがてら、1階のキッチンにコーヒーを淹れに行く。
「勝手に部屋の中触らないでよ」
聞いてくれる保障はないんだけど。
特に見られて困るようなものはないけど、やっぱりね。
大急ぎで、ライラックの花瓶とコーヒーをトレーにのせて部屋に戻った。
ドアを開けようとノブに手をかけると、中からせいちゃんの話し声がする。
電話かな?
話の邪魔をしないようにそっとドアを開けた。
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