ミスティパープル(バラ)

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少し雲の間から陽が射している庭で、ようやく咲き始めた紫色のバラ、ミスティパープルにハサミを入れた。 「よし、これでいいわ」 切ったばかりのミスティパープルを大事に紙で包むと、思い出したように時計を確認。 「いけない!バスに乗り遅れちゃう」 慌てて鞄を持って玄関で靴を履く。 せっかく少しヒールの高いパンプスを用意していたのに、急遽3センチヒールに変更。 「行ってきま~す」 玄関を飛び出すと、一目散に二つ先の角にあるバス停へ急いだ。 すでにバス停には何人かの乗客がいつも通りに並んでいる。 その最後尾、いつもの後ろ姿に頬を緩めると、走るのをやめて深呼吸。 .
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