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20分程バスに揺られて会社に到着。
いつものように3階のオフィスに入れば、今日のプレゼンに参加する人たちがピリピリした様子でコーヒーを飲んでいる。
どこか言葉少ない雰囲気が居心地悪くて、ミスティパープルを持って給湯室に逃げ込んだ。
花瓶を出してたっぷりの水と共に花をいける。
やっと水に浸けてあげられてホッと一息。
切ってからこうやって水に浸すまで、花が弱ってしまわないかいつもドキドキする。
「おはよう、今日はなんだっけ紫のバラ?」
コーヒーを淹れに来た先輩に遭遇。
「おはようございます。ミスティパープルです、庭に咲いていたので持って来ました」
「りおちゃんが入社するまで花なんて飾ったこと無いけど、ひとつあるだけで職場の雰囲気が良くなるから私は好きよ」
憧れの先輩に褒めてもらえて、やっぱりこの花は私のラッキーフラワーだ。
2つの花瓶を持って先輩とオフィスに戻ると、さっきまで厳しい顔をしていた人たちの姿は無くて、プレゼンが始まったことを物語っていた。
ヒロ君のいるうちに置いてあげられなかったけど、今からでも遅くない。
そっとヒロ君のデスクにミスティパープルの花瓶を置いた。
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