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どうかヒロ君の企画が通ります様に……。
だけど、ドイツには行きませんように……。
多分どっちかしか叶わないんだけど、どっちも祈らずにはいられない。
自分の仕事をしつつ、時計をちらちら見ながらため息。
「あなたがため息ついてどうするのよ。きっとみんな今頃頑張ってるんだから。そのための花なんでしょう?」
「へ?」
「あの花、青いバラを作っている過程で生まれた貴重な品種でしょ。青いバラの花言葉は『不可能』だけど、これはいつか不可能を可能にするかもしれない希望の花。おばあちゃんの受け売りだけど……」
チラッと舌を出して照れた先輩が、ちょっと赤い顔をして自分の席に戻っていった。
そう私が緊張したってどうにもならない。
元気付けてくれた先輩に恥ずかしくないように、自分の仕事頑張らなくちゃ。
ほとんど手つかずだった仕事にとりかかった。
お昼を過ぎても誰1人帰ってくる人はいなくて、先輩とランチに行ってもご飯が喉を通らない。
ヒロ君がドイツに行っちゃったらどうしよう。
さすがにドイツまでは追いかけて行けないし、2年後に綺麗なお姉さん連れて帰ってきたらどうしよう。
どんどん頭の中が混乱してくる。
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