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結局プレゼンが終わったのは夕方近くになってからで、疲れた顔だけどどこかやりきった感を漂わせてヒロ君が帰ってきた。
「お帰り、どうでした?」
真っ先にデスクに駆け寄って、出来栄えを問う。
「あ~疲れた!コーヒー」
デスクに突っ伏して何も教えてくれないから、とりあえずコーヒーを淹れに行く。
戻ってきたら何人かに取り囲まれていて、コーヒーを置くだけで精一杯でそれ以上近づけない。
ちょっとは手ごたえがあるとか、誰の企画も良かったとか、そんな男同士の会話が始まっていて、ちっとも輪に入れない。
そんな私の頭をよしよししてくれるのはやっぱり先輩で、仕方が無いから先輩と一緒に帰ることにした。
とは言っても先輩は電車だから、会社の前のバス停でさよならなんだけど。
「きっといいことあるわよ」
って意味深な言葉を残して颯爽と帰ってしまった。
その後姿がカッコよくてしばらく眺めていたら、誰かに後ろから頭を小突かれた。
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