バラ(ピンク)

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「おじさん、おばさん、気をつけてね。ちゃんと連絡してよ」 「わかってるから……、私達のことより自分達のこと考えなさい。赤ちゃんが出来たら連絡してね。ちゃんと帰ってくるから」 裕一と結婚して3日、おじさんとおばさんはまた世界旅行の続きに出掛けてしまった。 「あの2人なら大丈夫だから、心配するなよ」 裕一さんはのんきに笑っているけど、せっかく久しぶりに日本に帰って来たんだから、もう少しゆっくりしていってくれても良いのに……。 「だって……」 すねる香織をそっと抱きしめて、裕一が髪を撫でる。 「新婚夫婦の家にいつまでも居ちゃ悪いって、あの2人なりの優しさだろ?」 結婚を期に、誰も居なくなった忍さん達のマンションに移り住んだ裕一と香織、4人で雑魚寝するわけじゃないのにと、意味がわかっていない香織はやっぱりまだ口を尖らせて納得いかない顔をしている。 そんな香織が可笑しくて、ソファーで寄り添ったまま裕一が、そっと香織の髪を掬い取り、露わになった耳に唇を寄せた。 「あっ……」 小さく声を漏らした香織は真っ赤になって体を震わせた。 「こんな声、忍さんたちに聞かれちゃまずいだろ?」 「う、うん」 「子供が出来たら帰ってくるって言ってるんだから、することは決まってるだろ?」 「えっと……」 .
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