2760人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
ようやくわかったのか、恥ずかしそうに擦り寄ってくるのもなかなか新鮮で。
結婚式の前日に忍さん達が帰って来て、それから裕一達の部屋になったマンションで4人、旅行の話なんかを聞きながら楽しく過ごしたけど、新婚夫婦としての時間がほとんど取れずにいた。
結婚前もずっと一緒だったから、今更と言えば今更なんだけど、名実共に夫婦になった実感が持てない。
それを香織も思い出したのか、急に甘えてくるからつい意地悪をしたくなってしまう。
「俺を放っておいたお仕置きが必要だな」
香織を担いで立ち上がった。
「裕一さん、ちょっと待って」
背中をバシバシ叩くから、一度ソファーに下ろして窺ってみる。
「あの、お願いがあるんだけど……」
「何? お願いって?」
もじもじとしてなかなか言い出さない香織を待ちきれなくて、もう一度担ぎ上げようとした。
「担ぐんじゃなくて、抱きかかえて欲しい。お姫様抱っこみたいに……」
「あぁ、いいよ。さぁ、姫参りましょうか」
ゆっくりと香織を抱き上げ、寝室に入っていった。
.
最初のコメントを投稿しよう!