夕顔

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1人暮らしが長くなると、独り言が増えるのはご愛嬌。 夕顔は白い花を1つだけ咲かせて今日も待っていてくれた。 夕方から夜にかけて、ひっそりとだけど力強く咲く花。 帰りをいつも待ってくれていた母を思い出す花。 「お帰り」 思わず返ってきた返事に、水をあげていた手が止まる。 「花が喋った? そんなわけ無いか……」 空耳だと思うことにしてまた水をかける。 「すげー独り言」 今度はやっぱり空耳ではないらしい。 風の流れに乗ってタバコの匂いが流れてきた。 .
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