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「はぁ?テメェみてぇなガキが魔神のわけねぇだろ!」
「失礼だな。人は見かけで判断しちゃいけないよ」
ぱちん、指を鳴らす。
俺の周りを槍の形をした水が取り囲んだ。
本来なら詠唱が必要だけれど、俺は魔神だ。詠唱破棄など容易いものだ。
にこ、と微笑みながら鳴らした指を6人の盗賊のうちの1人に向ける。盗賊たちの顔は、すっかり引きつっていた。
「貫け、〈ウォーターランス〉」
水の槍が指を差した男に向かって飛んで行く。勿論こんな命令もいらないのだが、やっぱりコールした方が魔法使いっぽいし。魔法使いじゃないけどね。
どすどすどすっ、鈍い音をたてて槍が男に突き刺さる。それと共に槍は弾けて水に戻った。
男は、既に絶命している。それなりの威力はあるらしいな、この魔法。
「ひとーり」
「ひっ…!」
「びびんな!ガキ1人だぞ!!」
青い顔のまま、盗賊が俺を取り囲む。そんなへっぴり腰でさ、俺を殺せると思わないでよ。
なんて、正直俺もぶるってるけど。人を殺すなんて、するわけないと16年信じて生きて来たんだ。仕方ねぇだろ。
「…さ、次はどいつかな?」
それを表に出すなんて、決めた生き方に反するからしないけれども。
ただ、ただ。強気に笑ってみせた。
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