383人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
俺と襲われていた少年の周りは、すっかり景色を変えていた。在り来たりに表現するなら、血の海とか地獄絵図になるのだろう。
緑と赤のコントラストが目に痛い。
血の香りに噎せそうになるも、それを堪えて少年に向き合った。
助けてあげたのにびくりと身体を震わせるのは如何なものか。
この世界では殺人なんてよくあることだろうに。
「少年、大丈夫かい?」
「…えっ…?」
引きつった表情のまま、首を傾げるという器用な真似をする少年に苦笑が浮かぶ。
つーかこいつ、よく見れば美形じゃね?
びくびくしている少年を観察していれば、不意に思った。
肩まで伸びた髪は月の光のような銀髪だし、翠色の瞳は丸くて大きい。将来が楽しみなタイプだ。
俺としては今すぐ粉砕玉砕大喝采したいわけだが。美形なんて皆死ねばいいんだ。
「あ、貴方は、本当、に、魔神様…なんですか?」
少年が怯えた表情のまま、俺に言葉を投げ掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!