初っ端からの王道祭り

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俺はそれに少し驚きながらも、答えようと口を開いた。 「魔神だよ。俺の戦うところ、見たでしょう?」 俺が言霊の詠唱もせずに魔法を操り、盗賊たちを蹂躙していたところをさ。 そう呟けば、やはり怯えたように身を竦めた。 よくもまあ、俺に話しかけたね。勇気があるのか、ないのかよくわからない子だ。 「な、なんで魔神様が、ぼ、僕を助けて、くださったんですか」 そら気になるよな。ラスボスが森に捨てられたガキ助けたりすればさ。 なら俺は、それによくあるセリフを返すだけ。 「強いて言うなら、君の身体に封じられた魔力がもったいないから」 少年が弾かれたように顔を上げた。 その顔は、希望と絶望が入り混じったような不思議な表情を浮かべていた。 「…うそだ…」 「何が嘘だって?」 「僕は、魔力がないから捨てられたんだ。魔力なんて、あるわけない」 表情が、泣きそうなものに変化した。 「あるわけがない」ことを祈っているのだろう。魔力があったのなら、今この瞬間に此処にいるはずもないのだから。 総ては世界のシナリオ通り。 哀れだね、コスモガーデンの勇者様。
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