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「三笠弥月くん。君は勇者と共にこの世界に召喚されました。…この世界を滅ぼす魔神として」
金髪碧眼の自称神は、そう言って微笑んだ。
異世界トリップものを読み漁った俺の脳みそは、嬉しいものだと認識しているようで、脳裏にクラッカーの音が鳴り響いた。
ちょっと待て、俺。まず先に突っ込むことがあるだろう。
「…魔神?」
「はい。貴方は我が世界の魔を司り、人に絶望を与える魔神です」
「…神様がその魔神を前にへらへらしてていいの」
「君はまだ、ただの人間ですから」
まぁ、確かに。俺はまだ何の力も与えられていない非力な子供だ。神がそれを恐れるわけもない。
…ていうか、俺は此処で殺されてしまうのだろうか。勇者を召喚したということは、この世界が危機に瀕しているということだ。
そこに魔神を喚ぶなんて世界を滅ぼす真似、するわけがない。
「俺を殺す?」
先程のクラッカーはなりを潜め、今は告別式のような雰囲気の我が脳内。
気が早ぇな俺。
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