ギルドにて、修行の日々

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「断罪の剣よ降り注げ!〈ジャッジメント〉!!」 ノアの素早い詠唱が終わると同時に、俺の真上から光の剣が降り注ぐ。 俺はそれに目を向けることなく、口を開いた。 「弾け、〈ミラーウォール〉」 ちなみにこの魔法、某カード漫画のカードを参考に俺が作った魔法である。ノアはこの魔法の攻略が未だに出来ていない為、俺が身を護る時は必ずこの魔法を使っている。 ぴきぴきと音を発てて出現した銀色の壁は、光の剣を全て弾き返した。弾かれた光の剣は、ノアに剣先を向けて飛んで行く。 ノアはそれを軽く舌打ちしながら躱し、再び口を開いた。 「水よ、我の望む…」 「落ちろ、〈サンダーボルト〉」 しかし、やはりというか何というか。俺よりも詠唱は遅い。 まあ俺より詠唱が早い奴なんていないけど。 詠唱の必要ない俺だからな、俺より早いなんて神族に連なる者だけだろう。 落雷に当たり、吹っ飛んで行くノアを数秒見てから時計に目をやる。そろそろ5時間。終わりかな。 ぱんっと手を一度鳴らした。いつだかに決めた修行終了の合図である。これに従わなければ俺の火の魔法で火炙りになることが決まっている。 「…また兄さんに一発も入れられなかったー!悔しいなぁ、もう!!」 吹っ飛んだ姿勢のまま、大の字に寝転んでノアが吠えた。 俺はそれに苦笑を浮かべる。 こいつ、魔神の俺に本気で一発入れる気だもんな。 まあ、不可能とまではいかないが、中々に高いハードルである。 是非とも俺を殺れるくらいまで強くなって欲しいなぁ。殺られるのはノアだけど。 「まあ、俺相手によくやってるよ、ノア」 そう声をかけて、ノアの側に近寄り、手を差し出す。ノアはぶすくれた表情を浮かべながら俺の手を取って立ち上がった。
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