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「あの船ですかー?」
「ああ、あいつらだ。生け捕りで頼むぞ」
「わかってますって」
魔力をエンジン代わりにしているモーターボートで、ガーネット少佐と共に件の海賊船に近づく。意外とでデカい。俺が潰した海賊の船の中で一番デカいかもしれない。
しかし、ドクロにピエロのようなメイクが施されている海賊旗は、道化のバ●ーを彷彿させる。
どうしよう、自分の身体をバラバラに出来る魔法を使う奴が出て来たら。
「ちなみに船長はどんな人なんですか?」
「道化のような姿をし、火を操る魔法が得意らしいな」
…バラバラじゃなくてほっとしたような残念なような…。
複雑な感情のまま苦笑いを浮かべれば、緊張しているとでも思ったのかガーネット少佐が口の端を不格好に吊り上げた。
どうやらこれで笑っているつもりらしい。見ている側とすれば不気味である。
「なに、貴様の実力ならすぐに終わるさ」
「買い被り過ぎです」
そうでもないと不気味に微笑んだ少佐に謙遜を返し、集中して魔力を練っているふりをする。いつもみたいに無詠唱でほいほい撃ちまくるわけにはいかないからな。
「お手並み拝見といこうか、弥月」
はいはい、それなりに頑張らせていただきますよ。
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