巻き込まれた…わけじゃないのね

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神は、俺を安心させるように微笑んだ。 「いいえ。君にも我が世界、『コスモガーデン』に降りてもらいます。若柳勇稀くんのように」 若柳勇稀。超ハイスペックな俺の親友だ。 若柳勇稀は天然の金髪碧眼、アイドルのような甘い顔立ち、182㎝の長身、文武両道、歌も芸術もドンと来い、喧嘩も強いに加えて父親は大企業の社長であり、しかしそれを鼻にかけず、誰にでも分け隔てなく接し、曲がったことは許せない好意に鈍感な男である。 俺はこいつは二次元生まれだと信じて止まない。 ちなみに俺は黒髪黒目のモブ顔だ。しかし身長は174あるし、勉強も運動も出来るし、家事だって出来るし、喧嘩だけは勇稀より強い。 これだけあればもててもいいだろうよ。だがモブ顔の所為で一向にもてない。所詮は世の中顔なのか。イケメン皆死ねばいいのに。 そんな俺が何故こいつの親友をやっているのか、実は俺にもよくわからない。 わかるのは、俺の彼女が勇稀に惚れた為にいちゃもんつけに行ったことがきっかけだったことだ。 あいつ結局元彼とより戻しやがったがな。 話がずれたが、俺はこの若柳勇稀が原因でここに来た。何巻き込んでくれてんのかなあの野郎と思ってみれば、俺は巻き込まれ脇役ではなくダークヒーローポジションらしい。…そんなガラじゃないのに。
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