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「おっにさっんっこっ…ちらああああああ!!!」
近くに来た海賊数名を、甲板で拾ったオールで薙ぎ払う。仕方ないだろう、固有の武器は学校に通わないうちには持てないのだから。近くにあるものを使うだけ。
唯一の武器の魔法は、わざわざ詠唱しなくてはならないから。近くで戦うガーネット少佐に目を向ける。あの人が詠唱が聞こえない距離にいてくれれば楽なのに。
純粋な厚意からのこの距離なんだろうから、強くは言えないけれど。いっそ外道の軍人がくればよかったのに!
ん?いやいや待てよ。普通の言葉を言霊にすればよくね?どうせ俺詠唱無関係だし。まぁ詠唱あった方が強いんだけど、詠唱しなくともノアには勝てるレベルだし。なら詠唱も適当でいいわけだ。
よし、ひとつ賢くなったぞ、俺!
そういうわけで、早速。
「邪魔、すん、なっ!!<サンダーボール>!」
雷の塊が俺の周りを縦横無尽に駆け回り、海賊を感電させていく。ついでに少佐も、と思ったけれど意識ががっつりこちらに向いているのでやめておいた。
自分の戦いに集中しとけよ、あの男!心配されるほど弱かねーんだよ!
苛ついたので、適当に電力電圧調節をちょおーっとミスったサンダーボールをかましてみました。てへぺろ。
「おい、些かやり過ぎではないか?」
「すいません、ちょっと八つ当たりしちゃいました」
周りには黒焦げの死屍累々。死んでないけどね。
そう告げてはみたものの、少佐は一応、と俺の傍に倒れ伏した男の息があるか確かめていた。力加減は覚えてるってのに。まぁ、心臓弱い奴なら死んでるかもだけどね。
「そういえば、船長さんは捕えたんですか」
「あぁ。私は水の魔力が一番強いんだ。火を出されてもおいそれとは負けないさ」
成程。いつかの為に覚えておこうか。
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