遺言

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 「残念ながら」  自分が彼女に手紙を見せると、彼女と親戚達の顔色が青ざめた。どうやら本気で財産があると考えていたらしい。  しかし、もしもそんなものがあったとしても、彼女は一円も手に出来なかっただろう。  「そんな、馬鹿な……!」  彼女が怒号に満ちた叫びを上げる。その声がきっかけで、自分は刑事達を突入させた。  「な、何よこれ!」  彼女の質問に、自分は今日最後の答えを与えてやる。旧友としてでは無く、刑事として――  「白瀬真弓。詐欺罪で逮捕する!」  逮捕状を見せて、声高に。彼女は、親戚達と夫の名前を出して、怪しい品物を、宝物として売っていたのだった。  「あと少しで、財産が手に入ると思っていたのに!」  彼女の叫びは、天国の夫に届いただろうか。
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