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無駄に感慨深く頷く魔王はさておき。
志穂達はどうにも出来ない魔王の処遇に頭を悩ませた。
このままクローゼットの床に生えっぱなし、というのは避けたい。
かといって、家を傷付けるなんていうのはもってのほか。
ふと、何か気になった志穂が魔王に尋ねる。
「あのさ、あんたは自分でどうにか出来んの?」
魔王の首から下がどうなっているかはわからないが、魔王というからには魔法が使えるのではないかと思ったのだ。
しかし、よくよく考えるとこの魔王はこうして床から生える前は勇者と最終決戦をしていたらしい。
となると、使える程魔力というものが残っているのだろうか?
「あ、でも最終決戦とか言いよったな……」
と、すぐに却下しようとした志穂だが、時人共々その後魔王から発せられた言葉に目を丸くするしかなかった。
「ム……。どうやら魔法が使えたようだ」
「いや、そういうの最初に試せや」
時人のツッコミも魔王の耳には届かず、マイペースにクローゼットの床から抜け出すために魔王は魔法を発動させた。
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