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なにやらブツブツと魔王が呟くと、魔王の首が生えている部分のクローゼットの床に魔方陣らしきものが浮かぶ。
(なぁ、これってやっぱ本物なん?)
(そうみたいやな……)
いまいち信じきれていなかった志穂と時人だったが、こう、魔法まで見せられると信じざるを得ない。
小声でヒソヒソ話す二人をよそに、魔王が発動させた魔法がその効果を発揮した。
「うわっ!」
「眩し!」
ピカッといきなり光ったかと思うと、その眩しさに目をやられた志穂と時人。
目がチカチカして視界0だった。
そんな二人など構わず、クローゼットの床から抜け出せたであろう魔王は、喜んで盛大にはしゃいでいた。
「よし、さすが我!木材の一部と混じる事無く、上手く抜け出せたぞ!」
「いや、魔王なんやけん、そんなん当たり前やろ」
キャッホーイ!と叫びそうな魔王に、志穂は未だ目が回復していないにも関わらず、そのシルエットから魔法が成功した事を察知し、つい突っ込んだ。
志穂の言う通り、もし魔王が木材の一部と混じっていた場合、彼が本当に魔王なのか疑わしくなる。
……既にこれまでの言動から魔王なのかは疑問に思ってもおかしくないものだが。
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