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所々ヒビが入ったり崩れたりしている薄暗い広間。
そこに居るのはたった二人。
魔物を率いる魔王グレンと、聖剣に選ばれし者勇者アランだ。
「ハァハァ……」
お互いに息切れし、もう残る力も後僅か。
次が最後の攻撃になる。
スッと魔王が片腕を上げた。
仕掛けて来る、と思い勇者は聖剣を構え迎え撃つ態勢に入る。
「これで終わりだ」
そう言うと、魔王の周りが明るく光る。
あまりの眩しさに勇者は思わず目を閉じた。
そんな勇者に、魔王の声が聞こえる。
「やべっ。失敗した」
しばらくして何とか薄目を開けた勇者の目に、信じられない光景が映る。
魔王グレンは……跡形も無く消えていた。
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