第1話:魔王とファーストコンタクト

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兄の叫び声によって我に帰った志穂は「ギャース!」と叫びながら思いっきりクローゼットの扉を閉めた。 中からは魔王の「おい、何をする!開けぬか!」という声が聞こえる。 どうやら幻覚ではなさそうだが、不気味でしかない。 「何な、あれ?」 「知らん!」 混乱する時人と志穂。 その間もずっとクローゼットの中からは声が聞こえて来る。 恐怖が限界に達した志穂は、近くに置いていた掃除機を取り、クローゼットの扉を開けて思いっきり生首に殴りかかった。 ガッと大きな音はするが、掃除機のノズルを持つ志穂の手がしびれはするものの、生首にダメージは無いらしく、痛いやらの言葉が無かった。 「カタッ!」 しびれる手を掃除機のノズルから外しながら志穂は思わず叫んだ。 そんな志穂を鼻で笑いながら魔王が言う。 「フン、当然だ。見たところ、レベル2のお前が魔王の我に敵うはず無かろう」 魔王の物言いにイラッと来た志穂だが、その言葉を自分の頭の中で反芻する。 “魔王”という単語が聞こえたが……と思っていると。 「えっ、魔王?」 時人が魔王の生首をじろじろ見ながら言った。 .
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