第1話:魔王とファーストコンタクト

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魔王が征服しようと企んでいた世界――ギルーズは、基本的に全ての人間が微量とはいえ魔力を有している。 もちろん、それで全員が魔法を使える訳ではない。 しかし、周りに魔力に満ち溢れているモンスターしかいなかった魔王にとって、魔法が使えないというのは信じられない事だった。 「魔法が使えないとは……。こやつらはどうやって生活をしているのだ?信じられん……」 ブツブツ呟く魔王。 一方、時人と志穂は魔王をどうするか、再び話し合っていた。 「これ、ホンマにどうする?」 「うん……」 何やらちょっと考え込んだ時人。 名案でも浮かんだのか、スッと魔王の元へと向かった。 そして。 ググっと魔王を頭から押さえ付けた。 「な、何をする!止めんか!」 クローゼットの床から生えているとはいえ、別に魔王が床を突き抜けたという訳ではない。 言うなれば、通り抜けようとしてうっかり詰まった状態である。 時人に文句を言っても止めて貰えず、かといって床下に行く事も無い。 にっちもさっちもいかない状況となってしまった。 .
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