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魔王が征服しようと企んでいた世界――ギルーズは、基本的に全ての人間が微量とはいえ魔力を有している。
もちろん、それで全員が魔法を使える訳ではない。
しかし、周りに魔力に満ち溢れているモンスターしかいなかった魔王にとって、魔法が使えないというのは信じられない事だった。
「魔法が使えないとは……。こやつらはどうやって生活をしているのだ?信じられん……」
ブツブツ呟く魔王。
一方、時人と志穂は魔王をどうするか、再び話し合っていた。
「これ、ホンマにどうする?」
「うん……」
何やらちょっと考え込んだ時人。
名案でも浮かんだのか、スッと魔王の元へと向かった。
そして。
ググっと魔王を頭から押さえ付けた。
「な、何をする!止めんか!」
クローゼットの床から生えているとはいえ、別に魔王が床を突き抜けたという訳ではない。
言うなれば、通り抜けようとしてうっかり詰まった状態である。
時人に文句を言っても止めて貰えず、かといって床下に行く事も無い。
にっちもさっちもいかない状況となってしまった。
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