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「そういえば、シグルドリーヴァだっけ。竣工したらしいな。新聞読んだか?」  ワインを開けながら話を文乃が饒舌になるものにする。飲むかどうかを一応ジェスチャーで聞くと彼女は断った。アルコールに弱いのは身に染みているからだ。 「読んでないけど聞いた。みんな騒いでたから」 「あんな化物だからな」  こちらに届いた情報で、その全幅は850m以上。100以上の航空機を搭載できるらしいふざけた代物。シグルドリーヴァ級空中空母。シルベル王国という大国が造り出した世界唯一の空中空母という分類の艦艇。 「むしろ無用の長物にならないか?」 「どうだろ」 文乃は目を光らせて上を仰ぎ見た。 「航空機プラットホーム、指揮管制プラットホームだけならあんなに大きくなくていい。カタパルトとデッキ、格納庫と火器と居住とか。それだけなら見た感じ幅は200かそこらあれば十分だと思う。それでも十分ふざけた規模だけどね。じゃあ何であんだけの巨体が必要なんだと思う?」  ワンピースという不慣れな恰好ではあったがこの手の話題なら意味がないらしい。 「クイズか。今日は当たりが良い」 「ヒントはないよ。後憶測だし」 「わかってる」 そんな風に笑った。文乃の笑顔はワンピースにも良く似合っていた。それは後で言うとしてクイズを考えることにする。  新聞では読んだがそこには大した情報はない。これは軍人を含め国民の士気に関わるからだ。  そんな類の話をする男女が1組。 「威圧感とか?」  少しして笑いながら答える。文乃は苦笑した。
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