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「却下。古い思想じゃなきゃあんなの作んないから間違いじゃないけど」
「シルベルの護衛艦はそのまま盾って感じだ。古いと言えば古いな。砲弾を身に浴びようとも決して引かないという騎士道か?」
「騎士道のことわかって言ってんの?」
「いや。剣と盾しかわからない。それで正解は?」
呆れたのか文乃は口を開く前に水を飲んだ。
そこに丁度頼んだ定食をウェイトレスが運んできた。妙に嬉しそうな顔を忘れずに。
頼んだのはステーキの定食。俺も文乃も。俺には普通だが文乃には多い。普段はもっと軽いものを頼むが今日は緊張して俺のリピートをした。
「そんなに食えるか?」
「無理」
「それなら残ったら俺が食う」
さりげなく言ってみると文乃は一瞬固まり、それから顔をほんのり赤くして頷いた。
「それでシグルドリーヴァ級が無駄にでかい理由は?」
「補給艦」
ぼそりと言った。
◆ ◆
この国と大国シルベル王国との国交は現在あまり良いものではない。いや、悪いだろう。
状況としてはこの国の近海で重要な資源が見つかり、当然それはこの国のものだがそれをシルベルが虎視眈眈と狙っているという状況。
一方的に向こうが悪く、それは世界も納得してくれるだろうが、しかしそれは机上での話で、実質世界の半分以上はシルベルと言えるだろう。シルベルに肩を並べることができる軍隊など存在しない。それこそ世界を敵に回したとしてもシルベルが勝つと言われる程に。
それでもシルベルとて戦争などやりたくはないとは信じたいが、残念ながら戦争を起こすだけの価値が、その資源にはあった。
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