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 それでも言ったのは余程なのだろう。 「わかっているならいつプロポーズするんだい」 「近いうち。互いに……落ち着けたら」  それはいつになるだろうか。  今の開発が終わったら、終わったとしても文乃は優秀なメカニックとして次の開発に入るだろうし、俺も次の任務がある。複数のテストを同時に受け持つこともある。  それにシルベルとの戦争が始まれば俺も戦闘員となる可能性も大いにある。  マスターもそこまで言わず結婚式には呼んでくれとだけ言った。      ◆   ◆  酔いが醒めたころになっても文乃は起きなかった。 「寝過ぎ」 以前にもなかったこともないから、文乃を背負って戻ることにした。このまま宿舎に寝かせれば朝まで起きないだろう。  横に寝かせたいところだったが残念ながら木滑のスポーツカーは2シートなのでリクライニングで我慢してもらうことにする。  助手席に座らせリクライニングを調節し、離れようとした。  すると誰かの手が俺の手首を掴んだ。誰かと言っても文乃しかいない。寝ているものだと思っていたが。  文乃は微かに目を開けていて、その瞳は何かを求めていた。  手を着いて彼女に覆いかぶさる。  右手で彼女の小ぶりな胸を撫でると一瞬震え、甘えるように口を微かに開けた。  彼女の鼓動は速かった。強く脈打っていた。  俺は彼女に口づけをした。  舌を絡ませ、唾液を混ぜるように。  俺と文乃の初めてのキスだった。  唇を離し、余韻を確かめ、そして文乃は口を開いた。 「いつ、プロポーズ、してくれるの?」 「……聞いてたか」  文乃の瞳は真っすぐに俺を見据え、俺もその瞳を離すことなど考えられなかった。
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