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 最大のヒントは最後に加えた”流れ”と”音の壁”だろう。 「流れ、か」  インテークからダクト、コンプレッサで圧縮、水分は触媒術式で分解、スラスタでメインの推進力、タービンを回しその回転はコンプレッサにシャフトされる。タービンを抜けると排気ノズル。問題の燃焼はその辺りが理想。  しかし問題となった爆発は相当前のコンプレッサ。燃焼がダクトを逆流してコンプレッサに到達する、という危険性はスラスタが最大出力の時のみブースト――触媒術式の使用ができるというマイナスの少ないウェイトで大体クリアしている。スラスタの不調も観測していない。  それから音の壁。  これは音速を超える以前の時代に大騒ぎしていたものだ。 超えてしまうと存外考えられていたよりもずっと大したものではないことが分かったが、それでも超える時の衝撃波は馬鹿にできないだろう。 以前スラスタと触媒術式のみというコンプレッサを搭載していないエンジンに大量の水を積んだ実験機でマッハ1.7まで出したから分かる。音速を超えるというものを。機体が失速寸前のように揺れる。 「とすると」  コンプレッサブレードを見ながら答える。 「ブレード付近で発生した衝撃波、それが気流を妨げる、ということか?」  文乃は驚いた様に顔を上げた。 「何でわかったの? 結構苦労したのに」 「お前のヒントを繋げればそうなった。それに纏められたデータだと結構簡単に分かるって言う」  あーでもそんなものか、文乃は苦笑いを見せた。何か悔しいと。 「完全燃焼に近くなったってのは相対的に空気が少なくなったってこと。それはコンプレッサ付近というのも合わせて、コンプレッサ手前で蓋がされたような感じってこと。直前まで流れていたものが滞った。だから燃焼は急激に遡り、完全燃焼なのはコンプレッサになった。それは多分辻褄は合ってるかな。地上テストもクリアしてるから、蓋される原因、ブレードでの衝撃波が有力だと思う」
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