第7章.池田屋事件(後編)

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とうとう土方がキレてしまったようだ・・・。 土方の拷問は受けている者だけでなく、拷問をしている者、それを見ている者にも精神的に負担が掛かる。 特に気の短い土方は直ぐにはかないと縛り付けたまま逆さに梁(はり)へ釣るし上げ、足の甲から裏へ五寸釘をズブリと突き通しそこへ百目蝋燭を立てて火を燈すのだ。 現にいま蔵ではそれが行われていた。 いつもよりも眉間に皺がよっている状態の土方はこれで何度目か解らないほど言った言葉み古高にもう一度言った。 「おい。 さっさとはいちまえよ。」 「・・・。」 「まだ自白する気になれねぇってか?? ッフ、おもしれぇ。 おいっ!総司っ!! 水と木刀持ってこいっ!」 「・・・。」 沖田は一言も喋らず無言で蔵を出て行った。 ***** 一方琴音は屯所のすぐ傍まで来ていた。 普段は鈍感な琴音だが珍しく屯所に違和感を感じた。 いつも聞こえてくるはずの木刀同士が激しくぶつかり合う音、賑やかな話声が聞こえて来ない。 ただ聞こえてくるのは誰かが時々発する悲鳴の様なものだけ。
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