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藤堂は何時もの事ながらつい吐いて仕舞いそうになった溜め息を吸い込み翠を後ろから抱きしめた。
この女は興奮しているときなにを言っても聞かないので毎回静める時はこうしていた。
そして耳元で甘く、
「何を言ってるの翠??
僕が君をどれだけ愛しているのか知っているだろ??
それに君以外の女子になんて興味ないよ。
今もただぼーとしていただけであの女子の事なんて気づいてなかったよ。
それでもまだ僕が目移りしていたと疑うの??」
こう呟けば翠はさっきまでヒステリックになっていたことを直ぐに忘れる。
「へ、平助さん・・・ごめんなさい。
つい感情的になってしまって・・・。
そうよね、平助さんが目移りなんてするわけないもの。」
と、クルンと後ろを向き藤堂に抱き着いた。
胸に顔を埋めている翠からはお香の臭いがする。
琴音からは何時も何故か甘い香がしていたな・・・。
琴音の温もりを思い出し頬を綻ばせると翠に、
「分かってくれれば良いんだ。
さぁ屯所に帰ろう??」
と告げ「はい♪」と返事を聞くと翠の肩を抱き再び歩き始めた。
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