第7章.池田屋事件(後編)

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屯所に近づくにつれ徐々に大きくなっていく古高の悲鳴。 そんな声に疑問を抱いた翠は可愛らしく首を傾げながら藤堂に、 「平助さぁん。何か屯所の方向から悲鳴見たいの聞こえて来ません?? また土方様が拷問掛けて居るんですかぁ??」 と尋ねた。 翠は屯所に居る隊士全員に色目を使っている。 組内の情報を長州へつたえなければいけないというのもあるが一番の理由は組内には男前が多いからだと思う。 翠に騙され、惚れる輩も居れば逆に翠本人を激しく嫌う者もいた。 土方も色目を掛けられてはいるが相手にしようとすらしないほど翠の事を嫌っていた。 まぁ長州の者なのだから仕方がない。 「平助さん??」 翠の呼びかけにハッとした藤堂は慌てて、 「う、うん。そうみたいだよ。 誰を拷問に掛けているのかは解らないけどね。」 と微笑みながら答えた。 「へ~そうなんですか・・・。」 と返事をしている翠の先程までとはまるで比べものにならない表情になっていた。
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