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「ハァ・・・。
ごめんなさい琴音さん。
あんな話で騙されるとは思って居なかったけど・・・やっぱり罪悪感が沸きますね。」
とポツリと独り言の様に呟くと土方に頼まれたものを取りに行くため琴音とは正反対の方向へ歩きだした。
***
再び視点は平助達に戻る。
ちょうど沖田と琴音が話していたころ平助と翠は屯所の前に着いていた。
何時も通り門を通り玄関に行くと女物の履物が綺麗に並べて端に置かれていた。
翠は隣に立つ藤堂の顔をチラリと盗み見すると徐々に不機嫌な顔になった。
無理もない。
翠の前では滅多に自然な笑みを漏らさない藤堂が・・・
その履物を見た途端頬を緩ませ愛おしいものを見るような目をしていたのだから。
「ねぇ・・・平助さん。
その草履の女・・・誰??」
その不機嫌そう声にハッとした藤堂は緩んだ頬を締め直すと翠の顔を見た。
藤堂は翠の顔を見て自分が失態を犯してしまった事を知った・・・。
藤堂の隣に居た翠は今まで見たこともないぐらいに顔を嫉妬に歪ませ、草履を睨んで居たのだから。
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