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「で、本当にその子であってるの?」
チェシャ猫は首を90℃傾け、アリスに問いかけた。
「ええ」
アリスは、チェシャ猫の問いに対して、静かに頷き答えた。
「きっとこの子よ。間違いないわ…。ずっと、呼んでるの」
アリスは嬉しそうな顔でイドを覗く。
その顔は喜びに溢れ、身体が今にも井戸に落ちてしまいそうだ。
それを横目で見たチェシャ猫も、イドの中を覗いてみる。
イドの中には少女、
一人の少女が映し出されていた。
少女は絢爛豪華な服に身を包み、どこかの庭らしき場所でお茶を楽しんでいた。
「ふぅーん」
チェシャ猫はあくびをひとつした。
興味が無い様に見えたチェシャ猫だったが、耳まで届きそうな口角が更に釣り上がったのをアリスはしっかりと見ていた。
「チェシャ、今度こそ…」
アリスはチェシャ猫に何か言おうとしたが、途中で何か考えて、首を横に振った。
「やっぱり、なんでもないわ」
そんなアリスを見つめて、チェシャ猫は一言
「アリス、楽しみだね」
と言って、次はわざとらしくあくびをして、
イドの中の少女と、少女を見つめるアリスを、大きな目でずっと見つめていた。
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