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山中に響いていた山彦はすでに途絶えていた。
雲が月を覆い、辺りは暗かった。
「どういう事なの・・・」
銀髪の少女は周りを見渡した。
雲の途切れ途切れから落ちてくる月光が少しではあるが地上を照らしていた。
月光が照らした先は海。
但し、青ではなく赤であった。
その赤は血であり、また、その血は少女の同胞のものでもあった。
「遅いじゃない。リアト・・・」
少女の名前を呼ぶ男の声がした。
少女・リアトは男の顔を睨みつけた。
「まさか、あなたがね・・・鬼にでも取り付かれたのかしら・・・?」
「鬼・・・彼らか?」
「この惨殺!!鬼共の所行としか見れないわ!!」
男は近くの木に腰掛けた。
月光が徐々に男の体を照らし始める。
瞳は青色をし、クセのある金髪は所々赤く染まっていた。
「答えなさい!!スティール!!あなたなの!?」
リアトは大声で怒鳴った。
木々がそれに呼応し、奮え立つ。
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