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「裏切るつもりか!?スティール!!」
スティールが放つ殺意を大声で押し返そうとした。
リアトは自分では気がついてはいなかったが、頬に冷や汗をかいていた。
本能的に怖れていたいたのだ。スティールの狂気に。
「裏切る!俺がか?違うよ。ファントム・・・もっと崇高なものに俺は気付いたんだ。それを君たちにも知ってもらいたいんだよ」
「その崇高なもののために・・・同志を殺したの?」
木々を抜けて吹き抜ける風は気味の悪い音を奏でている。
そして、その風が空を覆っていた雲を散らし、美しく紅に染まった月が姿を現した。
「ほら、月も俺たちを祝福しているよ!さぁ、リアト・・・最後だ。俺のところに来ないか。」
〓ふざけるな
「誰が行くか!私は・・・我は己を貫く!!」
スティールは残念と呟いた。
それと同時に周りの木々がミシミシと音を立てながら幹から潰れていく。
「さよなら・・・リアト・ディデイール。我が友よ」
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