第一話 初恋

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僕の左側にいる違うクラスの女子だろうか、 彼女の頭の上に、なんと… 一匹の蝶々が止まっていたのである。 いつ体育館の中に入ってきたのだろうか。 彼女は真剣な顔で校長の話を聞いている。 だか、自分の頭の上に蝶々が乗っていることを全然気づかないようだ。 どうしよう…。 彼女に頭の上に蝶々が乗ってることを言った方がいいかな…。 う~ん、言いづらいな…。 あえて、見て見ぬふりをした方がいいのかな…。 でも、なんかすごく気になる。 ここは言った方がいいのか…。 あぁ、どうすればいいんだ。 僕が迷っていると、蝶々は彼女の頭の上から飛び立った。 前のステージの方へ向かって行って、 校長の頭の上に止まった。 校長は話すのに夢中で、自分の頭の上に蝶々が止まっているのを全然気づいてないようだ。 校長の頭の上に蝶々が止まってる。 どうやら、蝶々は校長の頭の上が気に入ったようだ。 光るハゲ頭の上に蝶々が乗ってるなんて、なんて滑稽なんだ。 僕は笑いを堪えた。 早く校長の話終わってくれよ。 この光景がシュールすぎて、吹き出しそうだよ…。 校長の頭の輝きがさらに増したような気がした。 はっ、腹いてぇ…いてぇよ。 僕はもう限界だよ。 この校長何時間話してんだ? 話が長過ぎるんだよ。 ぷっ、ぷくくっ。 いかん、笑ってはいかんぞ。 ここは、耐えるんだ。 静寂の中で僕が大笑いなんてしたら、大変なことになるではないか。 それにしても、笑い堪えてると結構お腹にくるもんだな。 早く、校長の頭から離れろよ蝶々。 どんだけ、校長の頭の上が気に入ってるんだよ。 そんなに居心地がいいものなのか? 駄目…もう限界。 僕が我慢できなくなった時にようやく校長の話が終わった。 長い地獄からやっと解き放たれたのである。
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