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「結愛花さまっ!!」
結愛花の届かない背中に高宮は手を伸ばす。
そして
「わっ!」
「危ない。」
結愛花は誰かの腕によって止められた。
それと同時に結愛花の前でトラックが過ぎ去っていった。
「結愛花さま!」
高宮は息を切らして追いつく。
「び、びっくりした…。」
結愛花は冷や汗をかきつつ安堵して、自分を止めてくれた腕をギュッと無意識に掴んだ。
「おい、曲がり角には気を付けろ。飛び出したら危ない。」
「へ?」
はっと声に気がつき結愛花は見上げると、知らない男が結愛花を見つめている。
そして自分がその人の腕を掴んでいることに気づき急いで離れた。
「ご、ごめんなさいっ!」
「…。」
男は黙ったまま結愛花を見つめ、次に後ろで息を切らした高宮を見て口を開く。
「あなたは、この子の保護者か?」
息を整えた高宮はそれにすぐに答える。
「申し訳ございません。まずは、お助けくださりありがとうございました。私保護者ではないですが、この方の付き人でございます。」
「そうですか…。今後このようなことがないように目を離さないようにした方がいい。」
付き人というワードを聞いてその男は特に聞き返すこともなく、そのまま去っていってしまった。
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