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「ごめんね出口さん。ちょっと席借りてるから♪」
クルンとバッチリ決まったまつ毛に大きな目、クラスで一番かわいい平松可奈子さんから
「ね?」
とかわいらしく首を傾げお願いされれば断れるはずもなく……。
「…うん、どうぞ」
力なく笑い、席を譲る。
まぁ、これもいつものこと。
カバンだけ置かせてもらい、HRが始まるまで親友の松井玲奈の席まで向かった。
これもいつものこと。
「陽ちゃん、あの子たちに一回ビシッと言ってやったら?どけろ!って」
「言えへんよそんなこと……。みんな小野君と話したいみたいやろうし仕方ないって」
小野君と席が近くなったら、誰もが経験すること。
隣の席の矢神君だっていつも座れず避難している。
なにも言えない私に、玲奈があきれ気味にため息をついた。
「小野としゃべりたいって、アイツほとんど無視してるじゃん。しゃべってるの全部みずきだし」
みずきとは小野君の親友、桑原みずき君。
クールで無愛想な小野君とは正反対。
明るくお調子者で常に彼の周りは笑いであふれている。
小野君ほどではないが、人懐っこい笑顔と気さくな性格で彼も何気に持てるのだ。
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