第一章 貴重な笑顔

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ふたりは幼なじみで同じサッカー部ということもあり、いつも一緒にいる。 「それでやきー…」 『キャハハ―…』 教室に広がるにぎやかな声。 その輪の中には入れない女の子たちも小野君の一挙一動を気にしているのがわかる。 チラッと彼らの方を見てみた。 確かにしゃべってるのはほとんどみずき君。 いつものようにおちゃらけて女の子たちを笑わせていた。 『もうみずきってバカなんだからぁ!? ねぇ?小野君』 平松さんが話しかける。 「あぁ……」 小野君はうっとうしそうに返事をするだけ。 「小野も愛想がないねぇ……。抜群にいい男なのにもったいない」 そう、玲奈の言う通り、小野君は女の子に対して少し冷たい。 みずき君のように楽しそうに会話することもなければ、自分から話しかけることもめったにない。 そういう硬派な性格も女の子を煽るみたいで、自分が一番中の良い女の子になりたいと、みんな頑張るんだ。 不機嫌モード全開の小野君。 「相変わらずつまんねぇ奴やき!コイツなんか放っておきって」
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