第一章 貴重な笑顔

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「でも……」と困惑する平松さんに、いーのいーの、と笑いながらみずき君は次の話題に移る。 やっぱり小野君は無反応。 窓からグラウンドを見ているだけ。 毎日のように取り囲まれて、アレコレ話しかけられてきっとうんざりしているのだろう。 モテすぎるのも苦労して大変だなぁ。 ストレス溜まっちゃうよ。 まぁ私には一生縁のない話しだからある意味うらやましいけど。 そんなことをぼんやり考えていたら小野君が不意にこちらを向いた。 ヤバい…見すぎてたかな!? 小野君と目が合う。 すぐにそらせばいいものの、あせった私は思わずニコッと笑顔をむけてしまった。 何やってんの私! 小野君もこちらを見ながら眉を寄せて微妙な表情になっている。 もちろん、笑顔が返ってくるはずもなく……。 あたふたとひとりでパニックになってると、 「陽ちゃん、何ひとりで百面相してんの?」 玲奈も怪しげにたずねてきた。 「べ、別に……」
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