第一章 貴重な笑顔

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キーンコーン……。 「あ、チャイムが鳴った。さ、陽ちゃんやっと自分の席に座れるね」 「…うん、そだね」 はぁ、朝から何やっとんだろ……。 とぼとぼ自分の席へ戻った。 「じゃあね、小野君♪」 「また来るね?」 チャイムが鳴り終わると、平松さんも自分の席に戻り、他の子たちもそれぞれの教室へ帰っていった。 「まったね♪♪」 ヒラヒラ手を振るみずき君に、 「お前も早く自分の席に帰れ。毎日邪魔なんだよ」 と小野くんはうっとうしそうに呟いた。 「まぁまぁ、お前を毎日助けてんじゃねーか♪」 バシバシと小野君の肩を叩きながら、「助け船、助け船」とみずき君はケラケラ笑っている。 「お前がいるから来んだよ!うるせぇんだよアイツら。マジでいい加減にしてくれ」 「ボランティアだと思えって!お前の笑顔でどんだけの女子が幸せになれると思ってんだよ!」 「…あほらしい」 「はぁ?俺がその顔ならもっと有効活用するぜ?なぁ、陽ちゃん!」
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