第一章 貴重な笑顔

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ビクッ!! 思わず身体が大きく揺れた。 まさか私には話が振られるとは…… 「え!?…ぇえっと…うーん……」 私の意見を待つふたりに見つめられ、何も考えられない。 「おい、出口が困ってんだろ」 「あはは!突然ゴメンね陽ちゃん!」 「私こそ…ゴメンね? ちゃんと聞いてなくて……」 だよね~ゴメンゴメン!と言いながらみずき君は席へと戻って行った。 ていうか、ふたりとも私の名前知ってたんだ。 みずき君なんて下の名前で呼んでたし。 地味で目立たない私の事を、有名人の彼らが知ってくれていたのはちょっとうれしい。 「なぁ、出口」 「ん?何?」 「さっき、何で笑ったの?俺の顔見て」 ぎくっ! さっきのことなんて、てっきり忘れてるだろうと思ってたのに… まさか、「モテてうらやましい」なんて考えてましたとは言えず……。 「いや、その……。あまりにもつまらなそうな顔してるから、つい……」
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