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気が付くと俺は見渡す限り白、白、白で埋め尽くされている空間にいた。
一体ここは何処なんだ?
俺が覚えているのはトラックに轢かれる直前まで。
その後の事は全くといっていいほど覚えていない。
じゃあ俺はどうやってここに来たのか?
もしかしてもしかすると此処はあれだ。
死後の世界ってやつなんじゃあ……。
「あながちハズレではないのう」
俺の心境を勝手に読み取り、発言したのは一体誰だって……。
あれぇ爺さん何時の間に此処に来たの?
俺の眼前にいたのは、いかにも全身白い服を着て、「わしは神様じゃ」とか言いそうな神様っぽい爺さん。
「えっと、わしは本当に神様じゃけど」
「あ、そうなの。それで何で俺此処にいるの?」
「切り替えが早いの~。
もうちょっと此処は”うわ、神様だ!!“ぐらいのリアクションを取るべきじゃろ。という事で3点!」
「何勝手に俺のリアクションに対して点数付けてんだよ!
おい、ところでその3点つーのは何点中なんだよ?
返答次第によっては俺の右拳の制裁を浴びさせるぞ」
「そんな戯言など通用せんわ。ほれ、お前さんの体を見てみろ」
しぶしぶ俺は自称神様の言う通りに自分の体を見てみたが……。
「う、嘘だろ。俺の体が無いなんて。これじゃあ自称クソ神に制裁加えられないじゃあねーか」
「今のお前さんは肉体という器が無い魂だけの存在といった具合じゃ。というか制裁はダメ、絶対」
あーくっそ、悔しすぎる。
今なら普通の俺でもフルボッコに出来たかもしれないのに。
「それと一体いつからわしは自分の事をクソ神と言った?」
「んなもん最初からだろ」
「……やっぱり転生させない方が良かったかな」
心優しい神は誰にも聞こえないように呟いた。
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