槙の片思い

6/8
前へ
/80ページ
次へ
仕事が終わり、 スタッフの人達が控え室に集まってきた どうやら今回の飲み会は バイトのメンバーが主らしく 若い子ばかりだった スタッフがワイワイと話をする中 知り合いもおらず孤立してしまう 「(やっぱ来なきゃよかった…)」 そんな事を考えていると 控え室のドアが勢いよく開いた 「よっしゃー!終わったぁ! 行きますかー!」 突然現れたヒロのかけ声で スタッフ達はゾロゾロと外に出て行った 「ヒロ…私やっぱり…」 「ん?はよ行くぞ!」 半ば強引に腕を引かれ 私は控え室を出た 「ヒロ!」 「ん?」 「私今回は遠慮しとく! 知らない人達ばっかりだし、 邪魔しちゃ悪いし…」 「誰も邪魔とか思ってねーよ」 「いや、本当にね…大丈夫だから 今日はヒロに誕生日のプレゼント 持ってきただけだし…」 「ん?そーなの?」 「うん、これ…」 「おーサンキュー」 ガサガサと箱を開けるヒロ 「ん?ネクタイとタイピン?」 「これから主任になるんでしょ? 会議や人前に出ることも多くなるだろうし…」 「おー!なるほどね!」 ヒロが首を縦にブンブン振っている 「ありがとうな!」 私の頭にポンとのせられた ヒロの手が髪の毛をわしゃわしゃ掴む 「大事にするよー」 ニコニコ笑うヒロがぼやけて見えた
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加