自分の意志

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「あいつが…翔太」 うちの手をギュッと握り締め ヒロさんが呟く 翔太は客らしき女の人を笑顔で送ると 此方に向かってきた 「誰?」 先程の笑顔とは打って変わっては 威嚇の眼差しをヒロさんに向けていた 「お前が翔太?」 ヒロさんはそんなの 気にしないとばかりに 淡々と言葉を発した 「だったら?てか誰だよコイツ亅 怒りを含む眼差しは うちに向けられたら 「…あ、えっと…」 怖くて言葉が出ない 「誰だって聞いてんだろ?」 翔太の手が此方にのびてくる 「っ…!」 殴られるっ… 思わず身を堅くすると 翔太の手をヒロさんが払った 「触んな」 ヒロさんの低く響く声 いつもより棘を纏った声に 顔を上げる 「俺、コイツの上司 お前さぁ、女に手あげんなよ 最低な奴だなほんと(笑)」 「は?関係ねぇだろ 俺の女なんだから!」 「ふっ…俺の女だって(笑) 綾菜、お前コイツの彼女なの?」 「え?」 「まだお前コイツの彼女なの?」 「…」 「なに黙ってんのお前」 翔太がまくし立てる
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