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「と、言うのが僕の持論の一部なんだけど。文句ある?」
原稿用紙をクリアファイルに仕舞いながら、僕は机を挟んで目の前に座る女の子に目配せをする。
「ありすぎなんですけど……」
女の子は手元にあるリンゴジュースをストローを介して飲み、大きなため息を重く吐き出した。
馬鹿な、僕の論文には寸分の狂いも迷いも無かったはずだ。
それが、今目の前の女の子に軽く否定されてしまった。
「具体的に、どこに文句があるの?」
原因を探るべく、否定した本人に問い掛けると、ご丁寧に重たいため息で返事をしてくれた。
「まず、何この内容?ナメてるの?」
クリアファイルを僕の鞄から奪いとり、彼女がおかしいと思った所を指していく。
こいつ、分かってないな。
「内容は、人類と不治の病である厨二病に関しての僕なりの見解だ。因みに至って僕は真面目だから心配する事はないよ」
「違う、一体どんな本を読んだらそんな読書感想文が出来上がるのかしら?」
冷ややかな目線を送って来る彼女には明らかに呆れ返る様が見て取れた。
「『無』の属性を持つ者、って言う小説さ。君も読んでごらん、必ずはまる」
「……そんな自信満々に答えられてもこっちが困るんですが」
全く、文句の多い奴だ。まぁ、このやり取りを何回やったか正確には覚えてない。読書感想文発表会がある度にお互いの感想文を見せ合う。
それが僕とアイツの何故か分からないが、恒例行事となっていた。
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